−菊丸の冒険−

前方の脇道に、1人の品が良さそうな初老の紳士が佇んでいるのが見えてきました。

「あぁ足も腰が痛うございます。この老いぼれだけで果樹を収穫など無謀だったのです。どこかに手伝ってくれる親切な若者はいないものでしょうか」

紳士は菊丸たちに気づくとオーバーアクションで、わざとらしく大声で独り言を始めました。

どうやら老紳士は菊丸たちのほうから親切心で声をかけなければ、積極的に勧誘してくる気はなさそうな気配です。

「あのご老人は、背筋もシャッキリしていて足腰も丈夫そうな体格をしているようだな。放っておいても問題はなさそうだが・・・」

「関わり合いになると面倒なことになりそうだよ?」

苦悩の表情で小さく声を漏らした手塚に、菊丸もコソコソと小声で答えました。

「でも、どうするかは手塚が決めてもいいよん」

俺は何も見なかった。何も聞かなかった

老紳士に声をかけてあげる

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