−菊丸の冒険−

窪みに隠れる程度だから、それほど大きくはない。

「これは水晶かな・・・何かの像に結晶が付着して本来の形が判らなくなってしまっているって感じだ」

まじまじと石を見つめながら、不二がそんなことを言う。手を伸ばして握りこんでから

「あれ? 取れない。底が岩にくっついているみたいだ」

ぐいぐいと指先に力をこめて動かそうとしても石が窪みから離されそうな気配はありません。

「あんまり強く握ったら折れちゃいそう」

「うーん。まぁ動かないものは仕方がないね。ところで英二」

石を握り締めたまま、不意に思いついたように不二が尋ねてきました。

「もし、これが像だったとしたら。本当は何の形をしていたと思う?」

わからない。

きっと『黄金のラケット』だと言う。

直感的に『黒百合』だと言う。

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